iPhone発売記念 アダムへのメッセージ

アメリカでの世間はiPhone! iPhone!という感じですね。私はにわかアップルファンボーイですがiPhoneは買いませんね。いつまでアメリカにいるのかわかんないから。まあそのうち触りに行こうとは思いますが。

まあそれでもiPhone記念ということでアップル昔話(http://www.folklore.org/)*1から好きな話を一つを翻訳。

アダムへのメッセージ アンディ・ハーツフェルドによる


アップルIIは1977年4月に行われた第一回西海岸コンピュータフェアで発表されました。このフェアは新たに発展し始めたマイクロコンピュータ産業の最初のトレードショウでした。そのころはそのようなショウもビジネス一辺倒ではなく熱心な愛好家の集まりのようなもので、私はコンピュータフェアは大好きでした。


1981年の4月、Macチームは午後に会社を抜けてサンフランシスコのブルックスホールで行われていた第7回西海岸コンピューターフェアに行きました。その時の一番の呼び物は、そこで始めて紹介された「世界初のポータブルコンピュータ」オズボーン1でした。


オズボーン1は初期のマイクロコンピュータ界では良く知られた、アダム・オズボーンのアイディアにより生まれました。アダムはそのころまさに不足していたマイクロプロセッサーやソフトウェアに関する重要な情報を出版する会社を立ち上げたテクニカルライターで、その会社は後にMcGraw-Hillに買収されました。彼はコラムニストになり、InfoWorld誌やその他の出版物において業界内で議論を巻き起こすような文章を書いていました。彼の議論は余計なもののない、大量生産で低価格の大衆向けコンピュータビジネスというビジョンに基づいていました。


1980年になると彼は自分の理論を実践に移すことを決意し、オズボーン1を設計、製造、販売するためのオズボーンコンピューター社を設立しました。オズボーン1は低価格の一体型ポータブルでいくつかのアプリケーションがバンドルされたものでした。ハードウェアの設計はホームブリューコンピュータクラブの伝説的なメンバーであったリー・フェルセンスタインによるものでした。そして、彼らはその成果を西海岸コンピュータフェアで発表しようとしていたのです。アップルが4年前にそうしたように。


オズボーン1はブルックスホール中央あたりの混雑したブースに展示されていました。見た目はかなり大きめのランチボックスで蓋の裏にキーボードが配置されていました。中には二つのフロッピーディスクドライブと真ん中に小さな5インチのディスプレイが詰め込まれていました。われわれはそれが不思議なくらいにジェフ・ラスキンの初期のマッキントッシュのためのスケッチに似ていたので少し驚きました。そのスケッチは最近になってスティーブ(ジョブズ)が縦型デザインを選択したために使われませんでしたが。ポータブルというのはまあそういえば言えなくもない程度のものでした。オズボーン1は11.4キロの重さで、飛行機の座席の下に無理やり入れられないということもない大きさでした。CP/Mアプリケーションの文字だけの画面が小さな画面をスクロールしてゆくのをみるのは、マッキントッシュの開発者としてはぞっとするものでした。


私たちは展示されたオズボーン1をよく見るために人ごみを掻き分けて最前列まで行きました。私たちが説明者に質問をし始めようとすると、驚いたことにアダム・オズボーンその人がすぐ近くに立っていて、私たちのバッジを見て先に話しかけてきました。


「お、アップルの人たちじゃありませんか」と彼はわざとらしくへりくだった調子で言いました。「どう思われますか? オズボーン1はアップルIIの何十倍も売れるでしょうか? そう思いませんか? アップルのどの部署で働いているんですか?」


私たちがMacチームですと答えると、彼は含み笑いを始めて、こういいました。「マッキントッシュ。聞いたことがありますよ。いつになったら実物が見れるんですか? 戻ったらスティーブ・ジョブズにこう伝えてください。オズボーン1はアップルIIとマッキントッシュをあわせたよりもっと売れますよ!」


その日の午後遅くクパチーノに戻った私たちは、スティーブにアダム・オズボーンとの会話を伝えました。彼は笑って、怒ったような振りをしてすぐに、バド(トリブル)*2の予備オフィスの電話の受話器をつかんで電話番号案内にオズボーンコンピューターの番号を問い合わせ始めました。彼が教えられた番号に電話をかけると秘書が電話に出ました。


「もしもし、スティーブ・ジョブズです。アダム・オズボーンとお話したいのですが」


秘書はスティーブにオズボーン氏は不在で明日の朝にならないと戻らないことを伝え、スティーブにオズボーン氏あてのメッセージを残したいかどうか尋ねました。


「はい」スティーブは答えました。彼は一瞬考えてからこう言いました。「私のメッセージはこうです。アダム、お前はケツの穴だ*3


秘書はどう返事をしていいものか分からず長い沈黙がありました。スティーブは続けて、「もう一つ。アダムはマッキントッシュがどんなものだか知りたいそうですが、彼にこう伝えてください、マッキントッシュは余りにもすばらしすぎて、お前の会社がつぶれることになっても、お前は自分の子供たちにマッキントッシュを買い与えることになるよ*4


原文

*1:MacOSの主要開発者の一人アンディ・ハーツフェルドの主催する初期のアップルコンピュータのいろいろなエピソードを集めたサイト

*2:MacOS開発チームの主要メンバーの一人。現Apple社のソフトウェア技術担当バイスプレジデント。

*3:"Here's my message. Tell Adam he's an asshole."

*4:"One more thing. I hear that Adam's curious about the Macintosh. Tell him that the Macintosh is so good that he's probably going to buy a few for his children even though it put his company out of business!"